Bengalese Finch ジュウシマツ 十姉妹 じゅうしまつ Gallery

Genetics

色遺伝は左のG1〜G6をクリック


NEW 2014.01.31 カラス十姉妹作出について
≪私のカラス十姉妹作出≫
『内容をオープンに開示するように心がける。』ことを基本に今回、以下に記述する。

イチゴの“スカイベリー”は、10万株以上の中から気の遠くなる作業で選択し育苗を繰り返し固定化を図ったそうである。

カラス十姉妹作りも似通ったところがあるのではないかと考えている。
私自身、師匠Y氏の禽舎でカラス十姉妹を拝見し衝撃を受けるのと同時に、Y氏の遺伝知識と共に長期実践経験によりカラス作出まで大変な努力をされたと拝察している。
さらにY氏から譲り受けたカラス種鳥と共に作出ノウハウの教示があってこその取り組みで現在がある。

十姉妹の世界では、カラス十姉妹は固定されていない。或いは、固定出来ないとの事が真しやかな通説となっている。
これらの要因は、カラス系以外のヒナから親換羽への一回限りカラスのように全体が真っ黒で発現し、次の換羽で元に戻る変異固体が時として生まれる事によるものだと思う。
この通説を払拭することを叶う夢とし、不可能と言われている事に挑戦している。

私の場合、種鳥のルーツは十五年ほど前から数年に亘り入手した先のY氏作出のフルカラーやフルカラー系を始めとし、コゲチャキンパラやヘキチョウ、さらにギンパラ系等とヨーロッパチョコレートや和十姉妹との交配を基に作出した固体達の交配を繰り返し行った。

方法の基本は、腹部の黒部分が1/4から1/2、さらに3/4から全黒に進める。
腹部の黒化には、胸から黒色が下がる固体・肛門部から胸に上がる固体・有覆無覆の太さ等を系統別にそれぞれを組み合わせる作業を行った。
(腹部の黒部分が1/4程度のペアーから全黒が誕生する時もある)

本来、十姉妹と呼ばれているのは昔から国内で飼育されていた和十姉妹(通説ではコシジロキンパラ)のことである。
したがってカラス(フルカラー)十姉妹は、ヨーロッパ十姉妹と同様にキンパラ属同士の異種交配のハイブリッドである。
十姉妹愛好の先人が、コシジロキンパラやギンパラ、黒キンパラやコゲチャキンパラ等のハイブリッドで作出固定されていたならカラス十姉妹が和十姉妹だったのではないかと想像を巡らし、楽しんでいる。

なお、一昨年までカラス十姉妹と呼称していたものの、昨年にはフォーンで全体が茶の固体を作出したのでカラスとは言えなく、フォーンフルカラー十姉妹(Y氏は以前からフルカラーを使っていた)と呼称する。
それぞれを、ブラックフルカラーとかフォーンフルカラー等と従来の色にフルカラーを併せた呼称としている。

便宜上 略記号 B:ブラック F:フォーン FC:フルカラー G:グレー 

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@≪♀B × ♂コゲチャキンパラ・ギンパラ・ヘキチョウ等の原種 交配≫
F1は、性別以外の羽色はおおよそ同一で表現される。
スタート時点では、FC(フルカラー)や野鳥が必要である。
注…写真の♂原種は便宜上、作出カラスを原種とした。

         ♀B       ×     ♂原種
    

              ↓
 ヒナF1(5羽とも)
     

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A≪♀F1 × ♂F1 交配≫
コゲチャキンパラとジュウシマツのF1は、オス・メスともにペアーリング可能である。
この交配では、祖父に限りなく近いヒナから祖母に限りなく近い固体まで誕生する。

         ♀F1       ×       ♂F1
    

              ↓
 ヒナF2(5羽とも)
     

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B≪♀F1(F2) × ♂F1(F2) 交配≫
F1やF2のフルカラー系が入手出来るとフルカラー作出への近道である。

@・A項の類似2ペアーの組み合わせで誕生したヒナを異血で組み合わせる。
カラスを狙って腹部黒勝をペアーリングする。
たまたま上手く組み合わせが出来ているとフルカラーが誕生する。
いずれにしても、根気よく諦めず多くの交配でフルカラーを作出する。
意外なことに腹部がヨーロッパチョコレートタイプに類似したフルカラー系からフルカラーが誕生することが多々ある。

      ♀B FC系       ×    ♂B FC系
    

              ↓
 ヒナ
      

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C≪♀FC × ♂FC 交配≫
ほとんどフルカラーで誕生する。

      ♀B FC        ×    ♂B FC
    

              ↓
 ヒナ(5羽とも)
      

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NEW 2014.02.02 フルカラーフォーン十姉妹作出について
D≪♀F1(F2)/F × ♂F1(F2)/F 交配≫
F1やF2のフルカラー系にフォーンを持たすとフルカラーフォーンの作出への近道である。

@項の原種オスに和十姉妹メスを2ペアー、類似を組み合わせる。
誕生したヒナを異血で組み合わせる。
フルカラーフォーンを狙って腹部黒勝をペアーリングする。
たまたま上手く組み合わせが出来ているとフルカラーフォーンが誕生する。
いずれにしても、根気よく諦めず多くの交配でフルカラーを作出する。

   ♀B/F FC系      ×  ♂B/F FC系
    

              ↓
 ヒナ(4羽とも)
   


以上、簡単なようだが限られたカゴ数のペアーリングなので気の遠くなる年月を費やしている。
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2013.06.27
≪十姉妹の色や巻き羽遺伝について≫
 <十姉妹の色遺伝>
漠然とペアーリングし羽数を殖やすことは十姉妹飼育の楽しみであるものの、色遺伝を知ることでさらに楽しみは倍増すると考える。
そこで、先の記述通り『簡易な表現で漏れや隠し事の無いこと、内容をオープンに開示するように心がけた。』を念頭に知り得る色遺伝などを画像を使用し、稚拙ながら分かりやすく解説する。
参考となった資料や遺伝専門書に基づき、交配実践と検証を行った。
それぞれのペアーリングで誕生するヒナを  Genetics-1 Genetics-2Genetics-3Genetics-4Genetics-5Genetics-6 の画像と注釈で表示する。

 <十姉妹の色遺伝を駆使したスーパーペアー>
親鳥に伴性遺伝や通常遺伝の各色を持たすことで、少数飼育で各色のヒナを作出可能なペアーである。  What'snew ページの2013.08.18 酷暑の中、ヒナ成長を参照。

 NEW 2014.02.06<十姉妹の巻き遺伝>
芸物十姉妹とノーマル十姉妹を交配すると芸物とノーマルが誕生する。
したがって、遺伝的に優劣は無いものと考えてもおかしくないが、芸物のホモ型がいない(全ての芸物十姉妹はノーマルヘテロ)と仮定すると、芸物にノーマルを交配することでヒナは両タイプで誕生すると考えているし、さらにはノーマルから芸物の誕生は100%ないことから判断出来るので遺伝的には芸物が優性である。交配1参照

では、なぜ芸物のホモ型がいないかとの疑問に到達する。交配2参照
この交配では、1対2対1で生まれる筈なのだが、どうも致死遺伝子が悪さして下交配2の@巻きホモ型タイプは生まれてこないであろう。
このように推察すると芸物遺伝の疑問が解決する。

巻きタイプ/ノーマルヘテロを(F/N) × ノーマルを(NN)と仮定すると分かりやすい。
巻きタイプホモ型を(FF) とする。
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交配1
 ♀ 巻きタイプF/N    ×   ♂ ノーマル系NN
    

                ↓
ヒナ巻きタイプF/N50%     ヒナノーマルタイプNN50%
     

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交配2
 ♀ 巻きタイプF/N   ×    ♂ 巻きタイプF/N
    

                ↓
@ヒナ巻きタイプ25%     Aヒナ巻きタイプ50%      Bヒナノーマルタイプ50%
   巻きホモタイプFF       巻き/ノーマルF/Nタイプ    ノーマルタイプNN
        

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さらに掘り下げると巻きタイプにおいて、大納言は※各部巻き形質が組み合わされ表現されたものだと考えている。 ※各部巻き形質とは、梵天・千代田・中納言(梵天・襟巻)・レール巻き等だと考えているものの、理解に苦しむタイプに輪千代田が存在する。
このタイプの巻きは、輪を描いたように綺麗な円形で表現される。
大納言タイプには、輪千代田に梵天を乗せたタイプと千代田に中納言を乗せたタイプがあると考えるている。前者は見た目が綺麗で梵天が縦に真ん中から左右に櫛を入れたように表現される。
後者のタイプは、輪千代田部に段差が付き、梵天部は立ち梵天固体が表現されることが多い。

巻き形質には、梵天・千代田・千代田梵天・中納言・大納言・レール巻き等の巻きタイプが一般的に多く見かけられ、作出も簡単でありパーツと考えて組み合わすと大納言作出となる。
他にキングやクィーン、輪千代田なども作出している。
ただ、キングやクィーンを種鳥としてもヒナに引き継ぐことは経験上ない。
他方、検証は出来ていないものの通常の芸物ながらキングの出やすい固体がいる。
まだ、未作出ながら襟だけの巻きも作出可能ではないかと考えている。

以上は、飼育経験から『巻き遺伝はこうであろう』と導いたものである。

余談ながら、芸物十姉妹と原種野鳥(キンパラやヘキチョウ等)の交配においても確実に巻きは引き継がれることは検証済みである。

<キングの巻き遺伝>…過去、一部の方には公開済み。
見かけキングの遺伝には、2通り或いはこの中間を含む3通りのパターンが大まかに考えられると推察している。
詳細は、5パターンかもと実践から見込まれる。

T大納言系
@棒風切り羽根の最悪パターン。
A首振りの最悪パターン(これはどの鳥にも共通だが、特にキング系に多い)。
B仰天症の最悪パターン(これはどの鳥にも共通だが、特にキング系に多い)。
C(さらに足曲がりの最悪パターン、これはどの鳥にも共通)。
注…上記の異常が出た固体は、ペアーリングはしない。

U千代田系
Dキングで、@〜Bが解消されたパターン。

V大納言・千代田の中間系?
E@の解消、ABともに、あるいは片方の発現パターン。
F@の解消、ABともに、あるいは片方の発現パターン。

Wレール巻きと背巻き系
G大納言でレール巻きのみ、あるいは背巻きのみ、さらに両方の巻きパターン。
X弱キング系
H大納言でもなく、キングでもない全体が弱逆毛のクィーン固体パターン。
以上のパターンを作出した結果として考えている。

≪腹部V字模様の出し方 交配≫
 <ヨーロッパチョコレート系>
V字柄は、太細に飼育者の好みがある。さらにV字角度の鋭鈍角も同様である。

ヨーロッパチョコレートも和十姉妹と同様に近親交配のペアーリングを避け、強黒色素のペアーリングを行う。
また、ブラックブラウンの綺麗なV字柄をブラックとのペアーリングでブラック側へ移すことも可能である。

ヨーロッパチョコレートが1羽で相手側のV字柄が薄い場合は、ヒナとのライン交配でV字柄が出る時がある。
お奨めの作出とは言えない。

ヨーロッパチョコレートが1羽で相手側のV字柄が薄い場合は、相手側にモルッカキンパラ等の野鳥を使いたいが、モルッカキンパラ固体の入手が困難である。

 <パール系>
パールのV字柄を表現するには、柄の薄いパールはヨーロッパチョコレートとの交配を繰り返し着実に濃くV字柄に進める。
別な方法として、ある目的で柄の薄いパールとヘキチョウの交配により濃い柄を出す時があるが、U字柄が出やすい。

 <パール系>
和十姉妹系の固体の腹部柄は弱く、ヨーロッパ系のV字柄は綺麗に見える。
作出には、黒色素が大いに影響するのでヨーロッパチョコレートを最大限活用したい。

 <イノ系>
ほとんどの固体の腹部柄は弱く、V字柄がくっきりしている固体は綺麗に見える。
作出には、黒色素が大いに影響するのでヨーロッパチョコレートを最大限活用したい。