Bengalese Finch ジュウシマツ 十姉妹 じゅうしまつ Gallery

Hint of breeding



≪飼育全般≫
飼育方法について、インターネットで情報がたくさん検索できる。
また、書店で飼育本も置かれているので基本は理解できる。
私の飼育法全般が皆様への飼育のヒントになればと以下に簡潔に作成した。
作成にあたり、簡易な表現で漏れや隠し事の無いこと、内容をオープンに開示するように心がけた。
お役立ちになれば幸いである。

飼育には“コツ”があり、これは先輩諸氏から或いは飼育本や上記のインターネット等で理解可能である。
ところが、飼育に関しての“勘”だけは個人差が大きい。
例えば、30羽ほどキンパラやヘキチョウを飼育している中で『このメスは間違いなく産卵が近い』と言い当てる鳥友がいる。
野鳥の性別と発情の状態を数分の集中による卓越した観察で見抜くのである。
鳥仲間が言う、『彼は鳥と会話が出来るから』と。
さもありなん、これをペアーリングすると当たりで、“勘”の鋭さに驚く。

さて、我が家の飼育場所は年間を通して屋外である。
したがって、室内飼育との違いはご理解頂きたい。

いずれにしても、大空を自由に飛び回る小鳥を改良し家禽化したとは言え小さいカゴの中はストレスがある。
ストレスを100パーセント取り除くことは不可能である。
せめて、少しでもカゴの中を小宇宙に近づけることは、飼育者の感性と責務だと考える。

≪飼育環境≫
基本は、南や東向きで朝日が妙薬である。
禽舎の窓部分は金属製細目(網戸サイズ)の網を張り付け、夏場はすべての窓を開放する。
冬季は、昼夜において窓をほとんど締めるものの水浴び飛散による糞との反応でアンモニア等の発生があり掃除は欠かさず、さらに夜間においても必ず少し隙間を設け通風を行う。
禽舎内は氷点下になることもあるが、初めて越冬する固体や東南アジアから導入した固体達は一冬越すと多少の環境変化には十分耐えられる。

余談ながら、キンパラ属の野鳥を導入した場合に半年くらいは玄関内で飼育する。
目的は、採光時間の延長により発情を促すことでオス鳴きを早め確認を容易に行う。
前もって、すべての個体に異色プラスチックリング1個を装着しておく事で固体識別が出来る。
カラーリングで見分けられるので、オス鳴き個体はカラーリングをさらに1個装着する。
また、家族が鳥カゴの前を通るので人慣れも早まり落ち着く。
この時、落ち着いた十姉妹数羽を選び同居させて仲間と思わせる事で、ハイブリッド作出の近道になる。

≪飼育カゴ≫
金カゴは、45Cm×45Cm。
カナリヤ用の庭箱。
木組みの多数巣引き用カゴ。
月齢4カ月以降のフライト金カゴ、80Cm×60Cm×60Cm。
(性別確認時の和鳥用竹カゴ。)

≪飼育器具≫
餌と水、ボレー入れ容器、青菜サシ。
パスケース小(ペアー♀・♂のリング番号や産卵日・誕生日の名札をペアーカゴに吊る)。

≪巣≫
壷巣(中)、木箱巣(手作り)。
時々、壷巣の上へ巣材を運び産卵する場合がある。
この防止は、壷巣の上に新聞紙などで隙間を作らないように詰めるか、壷巣をコーナーから離す。
あるいは、木箱巣に変更する。

≪巣材≫
市販のシュロ繊維。
ススキの穂。
巣材を沢山運ぶほど発情を促せる。

≪止まり木≫
見過ごしやすいのが止まり木で、適切なら爪が伸びるのを防止出来たり、交尾時のグリップが安定する。
素材は、南天やブドウの枝。
金カゴ購入時の付属止まり木は綺麗だが、鳥が止まった時に滑り易いので使用していない。
取り付けは、2本として上下の差を出来る限り設けている。
早巣立ちの時、止まり木上下の中間に一本追加して巣に自力で戻れる手助けをする。

≪餌≫
皮付きアワ・ヒエ・キビ・シード等市販配合品。
皮付き餌は発芽するから、剥き餌より良いと思っている。
青米を少し混ぜ与えることもあるが、栄養過多に注意する。
アワ玉は脂肪過多防止で与えていない。
ペアーカゴには、アワ穂5本位を前網の上部に縛り吊るす。

≪副食≫
青菜類では、小松菜・青梗菜等で、農薬除去のためにバケツに浸し一晩水道水を蛇口からチョロ水で洗い流す。
青菜類が入手困難な真夏には、ヒエの芽出しを作り与える。
家庭菜園だと虫食いで安心できる。
青菜類や芽だしは、ビタミン類やカルシウム含有等の他に消化酵素の作用による健康維持のため欠かさない。
ボレー粉・塩土・除菌砂(幼児砂遊び用)はホームセンターで購入。
除菌砂は、カゴの底に敷くので糞切り網は除く。
砂に燻炭を混ぜることで、虫除けになる。
ミルワームと輸入のエッグフードは、産卵前と育趨中に与える。
輸入のエッグフードには、プロティン(スポーツ用品店で購入)をまぶす。
参考…芽出し作りは、ヒエを一晩水に浸した後に水を軽く切り、トレーに敷き詰め上から濡れ新聞紙で覆うと2〜3日で発芽する。
多く作り過ぎて無駄のないように加減し、与えるタイミングは2〜3ミリの発芽時。

主食と副食について、難しく考えなくても昔は餌・青菜・ボレー粉・水があれば十分であった。

≪飲み水≫
塩素を除去するために一昼夜汲み置きし与える。
容器は、週一回くらい逆性石鹸で洗う。
常に水替え後は、自身で『飲めるかな』との思いで行うと良い。
抱卵中でも水浴びを十分行わせているが、卵への悪影響は特にない。
輸送時は、必ず粉末イオンサプライ(スポーツドリンク)を薄めている。
飲み水のPHにより、♂・♀ヒナ数の調整が多少なりともあるようだ。

≪天敵≫
ヘビ・イタチ・ネコ・ネズミ等は侵入不可の細目金網を張る。
ネコの来訪は、愛犬が知らせてくれる。
特にヘビは万全と思っていてもどこからか侵入するので要注意。
モズ…軒下などにカゴを吊るしていると必ず可哀そうな破目となる。

≪害虫≫
ゴキブリは、ゴキブリホイホイで捕獲する。
バルサンで年に2回くらい禽舎内のゴキブリやダニ類の駆除を目的に行ない、薬品の害が無くなる一週間程度は小鳥達を他へ移しておく。
ハエや蚊は、金属製細目網で防いでいる。
アリやヤスデは、禽舎支柱周りに石灰を振りまいている。
ワクモやダニは、金カゴなら塩素系洗剤で予防出来るが庭箱は灯油に除虫菊粉末を溶かし塗布することで予防している。
クモの侵入はあまり気にしていない。

≪病気≫
基本は、獣医師に相談し適切な治療や薬を処方頂く。
トリコモナスやコクシジュームが多い。
この対策は、他からの導入時に必ず別飼育して薬剤にて予防する。

健康な適度な硬さの便と病的な軟便があり、観察すると分かる。
青菜の色が混じったり、抱卵時の大きい便は気にしない。
排便時、尻を振り絞り出すような動作を確認したり、水っぽい便や肛門周囲に糞が付着しているのを見つけるとヒーター保温し、ビオフェルミン等の整腸剤を水に溶かし与える。
滋養強壮からデミックスやネクトンを水で溶かし与える。

口を開け呼吸している時は、市販の風邪薬を水で薄め与える。
私達がドラッグストアーで購入できる薬を体重比率で概略計算し使用している。
この時の容器はバナナタイプだと、糞が入らない。

時として、下腹部を見ると赤紫色に内臓が腫れていることが伺える個体がいる。
この症状は、ほとんど回復は見込めない。

使用中の餌や水の容器類等は、逆性石鹸でよく洗う。

≪遺伝症≫
健康な固体にも拘わらず、動作が異常な固体に白内症や仰天症がある。
この病気は、白系統に見受けられ飼育を始めた昔にも見受けられたので、最近起こったことでない。
見つけ次第、別カゴで飼育し一切ペアーリングを中止として子孫を残さないことで再発の防止を図る。
足曲がりも同様である。
対処として上記のラインストップと共に発症の無い白固体は黒勝ちのパイドと交配することである程度の再発防止が可能である。
したがって、白ペアーの交配は全くしていないが小渕のペアーから純白ヒナは誕生する。
反面、ほんの少し白羽が残る固体から一色黒等の個体が生まれる確率はゼロに近い。

≪寄生虫≫
クチバシの一部が乾燥したように白っぽくなったり、目の回りのリングが赤く充血症状。
これは時々、導入固体に見受けられ、疥癬を疑うと良い。
疥癬は必ず隔離し、軽症なら無害のゴマ油を繰り返し塗布。
重症では、イオウ系軟膏やオイラックス軟膏を繰り返し塗布するが、くれぐれも小鳥の目や口の中に入らないよう慎重に行う。
同時にカゴや餌箱等は、塩素系洗剤に浸して洗浄する。

≪怪我≫
壷巣の縫い糸に爪を絡ませ身動き出来ずに衰弱したり、爪が落ちる場合がある。
金網の継ぎ目に足を引っ掛け逆さ吊りになる場合もある。
また、巣立ちヒナに多い事故に壷巣と金網の隅に出来る狭い場所から抜け出せず発見が遅れると落鳥で悲しい思いをする。
これらは、爪を切ったり壷巣と金網の間を広げたりすることで防止出来るが完全ではない。
爪切りは、透かして見ると血管が見えるので、それより外を切る。
誤って爪を深く切り出血した時には、線香の火先を傷口に一瞬当てるだけで止血できる。

ここでも、常に観察し早期に対応することが大切である。

≪衰弱≫
冬季に多く見かける症状として羽根を膨らませて目の輝きを無くす。
これは、覆い(保温目的)を掛けた和鳥用竹カゴに移し室内でヒーター(犬用座布団タイプ)加温し、粟玉とスポーツドリンクや栄養ドリンクを薄めて水代わりに与えることでほとんどは回復する。
高齢(5才以上)の場合は、回復が困難な時がある。
(8才でも子育て実績があるものの、オスに限ってのこと。)
冬季は、管理を怠りやすいものの特に小鳥の状態を観察することが大切で、かつ早期発見が一番である。

≪詰卵(卵秘)≫
冬季に多い症状で、発見が遅れると落鳥で悲しい思いをする。
症状は、自力で飛べずに羽根を膨らませてうずくまる。
壷巣の中の固体確認も大切である。
お腹を触ると卵が確認できる。
発見次第、カイロで包み保温することでほとんどは排卵する。
荒治療だが、腹部の卵を肛門に向かって押し出す。
排卵すると何もなかったように元気に飛び回る。
鳥友は、ひまし油を肛門から入れ卵を押し出すとの話を聞いたが未実施。
最悪の衰弱状態では、腹部内の卵を外圧で割ると排出し短時間で回復するとも聞いたが、これも未実施。

根本的な対応は、屋外飼育では冬季のペアーリングを解消する。
特にキンパラやヘキチョウは、1月や2月の厳冬期に産卵しやすく詰卵発生で落鳥のショックがあった。
再発防止は、ペアーリングを早くても桜の咲く頃としている。

NEW≪育雛中≫
基本は、静かに見守ることである。
特に神経質な親鳥は、巣からヒナを咥えだす。
これは、野生動物が子供を他の安全な場所へ移動させる行為と同等と考える。
賛否あろうと思うが、それほどにヒナへの愛情を持っていると思う。
特に野鳥系統に多く見受けられる。
他方、鳩が子育て中に巣を覗くと風切り羽を鋭くバッティングしてくる。
これと同じ動作の親鳥がいて、こんな親鳥は確実に子育てを成し遂げる。

育雛中の親鳥への主食や副食は、ヒナの成鳥に顕著に表れる。
そこで主食には、市販配合餌にカナリヤシードを多く混ぜる程度である。
副食に青菜や芽だしを欠かさないが、青菜はヒナの体温を下げることを考慮し食べ残すほど与えないし、夕方にも与えない。
エッグフードやワームは十分に与える。

親鳥の水浴びはヒナに影響はないものの、水浴びや糞の混入による水質悪化があるのでバナナタイプに切り替えている。
バナナタイプに不慣れな導入固体は、通常の水ケースを使用し頻繁に水替えを行っている。

巣を覗くと、黄疸?だと思われるヒナ固体が年に数羽誕生する。
落鳥の恐れがあり、この症状は致死遺伝子が悪さしているのかと考えてしまう。

ヒナ数が多いと親鳥に負担が掛かる筈なのに意に反し全てを上手く巣立ちさせる。
他方、ヒナが1羽の場合は、成長が遅い。
これは、競い合って黄色のクチバシを開く事がないからだと思う。

その他で注意している事は、年間を通しヒナのいるカゴの底面を夕方には確認し、巣から落下や巣立ちするも戻れないヒナがいると静かに戻す。
これを怠ると可哀そうなこととなる。

≪軟卵≫
殻が無くて薄皮だけの、黄身が透き通り見える卵を産む時がある。
ほとんどは、巣の外に産み落としている。
原因は、カルシュームや日光不足等による。
取りあえず、吸収の良いカルシウムの水溶液を作り与え日光の当たる位置にカゴを移動する。
先の“朝日が妙薬”はこのことで、こんな単純な事で、解消出来る。
紫外線によるビタミンDとカルシウムの吸収の関係によるものと考えている。

≪固体導入時≫
どんな鳥を作出するか目的を持って導入する。
交配を急ぐ時には成鳥を導入するが、将来を見据えると若鳥がいい。
目に輝きがあり、羽根に締りのある健康な鳥を選ぶ。
導入鳥は、一旦隔離しトリコモナスやコクシジュームの予防する。
信頼できる鳥友からの導入は、即ペアーリングしている。
導入鳥は、ペアーリングを見据えて必ず親鳥の系統をお聞きする。
≪寄生虫≫と重複となるが、疥癬にも注意する。

≪悪癖≫
ときたま、同居している鳥達の尾羽を抜く悪癖の固体がいる。
原因としてカルシウムやビタミン不足とか言われるが、正直なところ不明である。
ただ、対策は見つけ次第別カゴに移し1羽飼いをして、ミルワームを食べさせたり、粟穂をたっぷり吊るして突かせたり、巣材で遊ばせストレスを無くすことでほとんど解消できる。
その他、ペアーリングで悪癖が不思議と解決できる。

≪見学者≫
小鳥達は、飼い主の顔を知っている。
見学者を見ると落ち着かないので抱卵中や子育てのカゴは見学者に前もって伝える。
また、赤色の服は危険を感じるのだろうか?バタバタと落ち着かないので要注意。

≪ペアーリング≫
小鳥飼育の楽しみの中で巣引きがある。
どんな色や模様、体形を作るかをペアーリング時に考える。
ペアーリング前のカゴには、殺菌や殺虫を徹底し入居させる。
時期的には春と秋で、ある程度気温が安定する桜の咲く頃としている。
オスは発情すると羽根を膨らませサエズリ、メスは頭を下げ尾羽を左右に揺り動かす。
この状態が確認できれば、一週間ほどで産卵する。
ペアーリング後、2週間経ち産卵が無ければ一度解消し発情を待つ。
経験からオスの発情状態は判断出来るが、メスは簡単に分からないので1年以上飼い込んだ鳥が最適である。
さらには、Y氏直伝の確認方法として手掴みして下腹部が柔らかくなっていたら発情のサインと判断していい。

子供のころ、黒十姉妹ペアーから茶十姉妹が誕生し『突然変異だ』と大騒ぎしたことを思い出した。
現在は少し遺伝の法則を習得し、理解できる。
  
例えば、遺伝の法則で
 親鳥…黒/茶ヘテロ × 黒/茶ヘテロ
              ↓
 ヒナの生まれる確率…黒25% 黒/茶ヘテロ50% 茶25%
  
つまり、『突然変異だ』の親鳥ペアーは見かけ黒だが茶の遺伝子を保有していたのだ。
(もう少し疑問を持つと他の色因子を保有していたかも分からない。)

≪抱卵中≫
抱卵中は、発情抑制のため副食は与えない。
卵に糞が付いているとスプーンで取り出し、30℃程度のお湯に浸け筆先で慎重に取り除き、壷巣に戻す。
青菜やボレー粉は与えるが、青菜を巣に運び込み卵内の成長に影響するので注意する。
約2週間で孵化するが、予定日を過ぎて卵の状態に変化の無い時は、スプーンで取り出し有精の有無を確認する。
有精卵は赤黒っぽく判断が付き、無精は白く変化が無い。
カゴの掃除は、巣立ちまで待つのが望ましい。

≪親分け≫
早くても、親羽への換羽が始まるくらい迄は同居させている。
ハイブリッドの換羽は遅いので、クチバシ元の黄色が取れるまで待つ。
この時期より早いと身体の弱い個体となる。
ヒナと同居中に次の産卵を始める場合がある。
この時は、ヒナを別カゴに移し壷巣を交換もしくは掃除すると翌朝には引き続き産卵する。
親分け後のヒナの餌は、皮剥き配合餌を中心にエッグフードも与え、徐々に通常餌に切り替える。

≪仮母≫
抱卵中に親鳥落鳥等の特別な時や、抱卵途中放棄等の時に有精卵のピンク色の状態を判断して抱卵日数を見極め、他の同日数の抱卵ペアーに抱かす。
ただし、同系統の仮母は後々に系統が判明できなくなるので避ける。
基本的に仮母飼育は好まないものの、せっかくの命を大切にしたい。

≪脚リング≫
多数羽飼育の時、生年月日や系統確認、ペアーリング時に大いに役立つ。
少数飼育ならカラーリングの色分けで対応出来る。
カラーリングは、玩具コーナーでビーズを買い求めると各色が混入されている。

≪挿し餌≫
子供のころ、野鳥や文鳥、セキセイインコのヒナに挿し餌をしたが、現在は全く行っていない。

以上、自己流の飼育方法なので誤解が生じる表現もあろうかと思うものの、ヒントになる良い点だけを活用頂くと幸いであり、薬品投与はくれぐれも獣医師の指示をあおぐことをお勧めする。

                                  平成23年4月
                                当ホームページ管理人